心理的安全性はどうすれば高まるのか|ルールより先に必要な「理解」という土台
結論
心理的安全性は、発言ルールや否定しない文化といった「型」を導入するだけでは高まりません。Googleの調査でもチームの生産性を左右する最重要要因とされていますが、それが根付くには、一人ひとりの言葉の背景にある特性や価値観を理解しようとする関わりが土台として必要です。
この記事で分かること
- 心理的安全性が注目される理由
- ルールや制度だけでは高まらない理由
- 心理的安全性の土台になる「理解」という関わり方
- 管理職が明日から変えられる関わり方
想定される状況
「何でも言い合えるチームにしよう」と方針を掲げ、会議の冒頭で「否定しない」というルールを共有した。1on1の頻度も増やした。それでも発言するのはいつも同じ数人で、若手や大人しい社員の発言は増えていない。
心理的安全性とは何か
心理的安全性とは、質問する、反対意見を言う、失敗を認めるといった対人関係上リスクのある行動をとっても、非難されたり評価が下がったりしないとメンバーが感じられる状態を指します。
Googleは「プロジェクト・アリストテレス」という調査で、180のチームを対象にチームの生産性を左右する要因を分析しました。その結果、5つの要因のうち最も影響が大きかったのが心理的安全性でした(Google re:Work「Understand team effectiveness」より)。
なぜルールを掲げるだけでは高まらないのか
「否定しない」というルールは、発言してはいけない理由を減らします。しかし、発言してよい理由まではつくりません。人は、ルールがあるから話すのではなく、話しても状況が悪くならないという実感があるから話します。実感は、日々のやり取りの積み重ねの中でしか生まれません。
私たちは、心理的安全性を制度として導入するものではなく、一人ひとりを理解しようとする関わりの結果として生まれるものだと捉えています。
自社のどこに課題があるか、6つの質問で整理できます
コミュニケーション・定着・採用のどこから見直すべきか、約1分で確認できます。
具体的な会話例
あるチームリーダーから聞いた話です。
- リーダー「会議で自由に意見を言っていいと言ってるのに、みんな黙ってるんです」
- メンバー「言ってもいいと言われても、この前意見を言った人が結局却下されてたので……」
「言ってもいいと言われても」の後に続く「〜ので」に、本音が表れています。ルールの有無ではなく、過去に発言がどう扱われたかという記憶が、次に発言するかどうかを決めています。
見逃しやすい言葉
会議やチームの中では、次のような言葉やしぐさにも注目してください。
- 「言ってもいいとは思うんですけど」という前置きの多さ
- 沈黙のあとに出る「特にありません」
- 特定の人にだけ意見を求める場面での、周囲の表情の変化
これらは、ルールが機能していないサインというより、まだ安全だと感じられていないサインです。
管理職が確認するポイント
- 発言した人の意見が却下されたとき、理由を丁寧に伝えているか
- 発言の少ないメンバーに、個別に話を聞く機会を持っているか
- 「否定しない」というルールを、自分自身が実際の場面で体現できているか
- 発言の多い人だけを基準にチームの雰囲気を判断していないか
明日からできる行動
- 会議で意見が出たら、採用するかどうかにかかわらず、まず「なぜその意見に至ったのか」を聞く
- 発言の少ないメンバーには、会議とは別の場で「あのときどう思っていた?」と個別に尋ねる
- 意見を却下するときは、結論だけでなく理由を本人に直接伝える
社員とのすれ違いを、個人の性格だけで終わらせないために
本人の特性、価値観、力を発揮しやすい環境、望む未来を整理し、仕事や役割との接点を設計します。
まとめ
心理的安全性は、ルールを掲げた瞬間に生まれるものではありません。発言がどう扱われるかを、メンバーが日々の中で確かめながらつくられていくものです。
私たちは、心理的安全性の土台を、制度ではなく一人ひとりの言葉の背景を理解しようとする関わりの積み重ねに置いています。
よくあるご質問
心理的安全性を高めるために、まず何から始めればいいですか?
全社的な制度を整えるより先に、身近なチームの中で「発言がどう扱われているか」を振り返ることから始められます。過去の発言が軽視された経験があると、ルールだけでは安全だと感じてもらえません。
心理的安全性と、ただの仲の良さはどう違いますか?
仲の良さは雰囲気の良さを指しますが、心理的安全性は反対意見や失敗の報告といったリスクのある発言ができるかどうかを指します。仲が良くても、失敗を隠す雰囲気があれば心理的安全性が高いとは言えません。
1on1を増やせば心理的安全性は高まりますか?
話す機会を増やすことは有効な手段の一つですが、それだけでは十分ではありません。1on1の中で本人の言葉をどう受け止めるかが、安全性の実感につながります。
この記事は「組織・コミュニケーション」カテゴリです。
関連する悩み
関連記事