1on1をしているのに辞めていく理由|仕組みを増やす前に見直したいこと
結論
1on1や面談の回数を増やしても、それだけでは定着にはつながりません。そこで交わされる言葉の背景にある、本人の特性・価値観・前提条件を理解する関わりがなければ、仕組みは形だけのものになります。
この記事で分かること
- 1on1をしているのに離職が続く本質的な原因
- 「仕組み」と「定着」は別のものであること
- 1on1・DX・AIに共通する限界
- 明日の1on1から見直せること
想定される状況
1on1を月1回、あるいは隔週で実施している。面談シートも導入した。それでも退職の申し出は減らず、「あれだけ話す機会を作ったのに、なぜ」という疑問が管理職の間に残っている。
表面的な原因
頻度を見直したり、テンプレートを整えたりすることには意味があります。しかし、それだけでは離職が続くケースが少なくありません。
- 1on1の頻度や時間が足りていないと考え、回数を増やそうとする
- 面談シートやテンプレートを新しくすれば改善すると考える
- 1on1を担当する管理職のスキル不足だと捉える
本質的な原因
1on1は「話す機会」をつくれます。しかし、その場で交わされる言葉の背景にある特性・価値観・前提条件まで理解できていなければ、話す機会があるだけの状態で終わります。人が会社に残るかどうかを決めるのは、面談の回数ではなく、日々の関わりの中で積み重なる理解の実感です。
DXやAIについても同じことが言えます。ツールは情報を整理し、記録を可視化できますが、本人がなぜその言葉を選び、なぜそう感じているのかを理解する土台がなければ、定着にはつながりません。
1on1が「やっている」で終わっていないか、6問の組織診断で確認できます
制度の有無ではなく、今どこに理解のズレがあるかを約1分で整理できます。
具体的な会話例
1on1を続けていたにもかかわらず退職を受け入れた管理職から、次のような話を聞いたことがあります。
- 管理職「1on1では毎回『特に問題ないです』としか言われなくて、まさか辞めるとは思わなかった」
- 本人(退職後の振り返りで)「1on1はあったんですけど、話しても変わらない気がして、当たり障りのない話しかしていませんでした」
「1on1はあった」という言葉が示すように、機会があることと、その機会が機能していることは別です。話しても状況が変わらないと感じれば、本人は当たり障りのない話に留めます。
見逃しやすい言葉
1on1の中では、次のような言葉にも注目してください。
- 「特に問題ないです」が、毎回ほぼ同じ言い回しで続く状態
- 「大丈夫です」の後に、間や表情の変化がある
- キャリアや将来の話題になると、話が短く終わる傾向
これらは、1on1という場そのものへの信頼が、まだ育っていないサインであることがあります。
管理職が確認するポイント
- 1on1の議題を、業務の進捗確認だけで終わらせていないか
- 本人が話した内容が、その後何らかの形で変化につながった経験があるか
- 「特に問題ない」で終わった回のあと、別の場面で様子を確認しているか
- 1on1の回数を増やすことと、本人を理解することを同じだと考えていないか
明日からできる行動
- 1on1の冒頭で、評価には関係のない時間であることを明確に伝える
- 前回話した内容について、その後どう扱ったかを本人に共有する
- 「特に問題ない」と言われたら、無理に深掘りせず、次回も同じ話題に自然に触れる
1on1や面談の設計を、社員一人ひとりの特性・価値観の理解から見直したい方はご相談ください
本人が力を発揮しやすい関わり方や、望む未来との接点を一緒に整理します。
まとめ
1on1をしているのに人が辞めていくのは、仕組みが足りないからではなく、仕組みの中身が本人を理解する関わりになっていないことが多いためです。回数を増やすことと、定着につながる関わりをつくることは、別の取り組みです。
私たちは、1on1やDX、AIといった仕組みを否定するのではなく、それらを人を理解する土台と組み合わせて初めて、定着という結果につながると考えています。
よくあるご質問
1on1の頻度を増やせば、離職を防げますか?
頻度を増やすことは有効な手段の一つですが、それだけでは不十分な場合があります。回数よりも、1回1回の対話で本人をどれだけ理解できているかが重要です。
1on1で「特に問題ない」と言われたら、それ以上聞かない方がいいですか?
無理に深掘りする必要はありません。ただし、同じ返答が何度も続く場合は、1on1という場への信頼がまだ育っていない可能性があります。時間をかけて扱う姿勢が大切です。
1on1シートやAIツールを使うことに意味はありますか?
情報を整理し、変化を記録するうえで役立ちます。ただし、ツールが示す情報を、人が対話の中で読み解き、本人に合った関わり方に変える必要があります。
この記事は「組織・コミュニケーション」カテゴリです。
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